東京から離れることの可能性。新作『MOON』、まもなくです。

こんにちは。ペニノはいま、こんどのゴールデンウィークふじのくに世界演劇祭での新作公演『MOON』にむけて、いま静岡で絶賛準備&稽古中です。


ところで、ちょっと前に読んだこの記事が、面白かったんです。
細分化されすぎた東京の芸術は、本当に「日本一」なのか? | milieu(ミリュー)


塩谷さんというライターの方が書かれた文章で、今回ペニノが公演する静岡で宮城さんの『冬物語』を見に行って帰ってくるまでの経緯が記されているのですが、これを初めて読んだ時に「意外とこういう記事ってなかったかも...!!!」って思ったんですね。

この記事、宮城さんの作品の中身のことよりも、演劇を観に行くこと自体、なんなら友だちを誘ってまで演劇に行くこと、について主に書かれていて、しかもそれが、読む人にちょっと行ってみようかなーって、思わせるものになっています。

そう、そもそも「演劇を観に行くこと」について記事として何か書かれることって、実はこれまであんまりなかったかんじゃないか、って思ったわけです。もちろん自分の狭い観測範囲の中でのことなんですが。

劇評やつぶやきで、ハッとしたり唸らされたりすることはもちろんあるんですが、それはあくまで作品の中身についてのことなんですよね。よく演劇を見る人にとってはそれで十分だと思うのですが、あんまり演劇を見たことのない人にとっては、そもそも、作品の中身にたどり着く前に「行くことがためらわれる」というめちゃくちゃ高い壁がある。

遠かったりチケット高かったりお尻痛かったりするくせにおもしろいかわかんないし自分に合うかどうかも分かんないし。ましてやそんな演劇に誰かを誘うだなんて・・・!

とにかく、どれだけ作品の中身がよくっても、行くことの壁を壊さないと観に来ない人たちが結構、というか、ものすごくたっくさんいるよな、とこの記事を読みながらあらためて思ってしまったんです。

だからその「行く前はものすごく高いように感じてた壁」が、行って帰ってくるころにはすっかり消えていて、最後には友だちまで誘って最高だったぜ!ってなる、その実感がリアルに綴られたこの記事が、すごく新鮮で、なんだか嬉しくて、そこに静かな感動があった。

もちろん、作り手の側としても何かのきっかけでついに観に来てくれた人に対して高い確率で「観に来てよかった」と思ってもらえるようにしなきゃなわけで、記事で引用されているインタビューで宮城さんも言うように、ハイエッジでありながら多くの人が面白いと思える普遍性のある作品にしなきゃなと思う次第なのでした。




ハイ!ということで!

ゴールデンウィークに静岡に行くのはアリだぜ!めっちゃアリだぜ!っていう作品を、いま現在進行形でつくっている最中です。


こちらは紹介動画。


こちらはタニノと宮城さんの対談。
宮城聰×タニノクロウ 演劇祭は世界を面白がるための処方箋


そして、こちらは小道具であり、観客のみなさんが身につけることになる・・・ごにょごにょ。


これは、劇中で使われる・・・もにょもにょ。



とにかく今作、いわゆるふつうの演劇、ではないです。


以前東京芸術劇場で上演した観客参加型の作品を下敷きにしていて、下記はそのときの紹介記事です。
どんなオマージュを捧げよう? 『タニノとドワーフ達によるカントールに捧げるオマージュ』はじまります。


前回は池袋の小さなアトリエを舞台にやったわけですが、今回は静岡の山中、大自然のなかにガラリと舞台が変わります。スケール自体パワーアップしていて観客の参加の仕方も壮大なものになっているのですが、たぶんそれ以上に大きいのは、やっぱり「東京」という土地から離れていること。宮城さんの言うように「東京」の中にいるとそれだけで人が来やすいのですが、「東京」に甘えることのできない環境でみっちり鍛え上げられた今作は、きっとより普遍的な作品に仕上がっているはず。もちろん、ペニノも近年海外で公演を行うことが多くなって来て、今回も「ふじのくにせかい演劇祭」だし、以前よりも世界の観客を相手に普遍性を意識することが強くなって来てはいますが、なにせ東京から来る人は3-4時間かけて来るわけだから、すげーもの観た!って思って帰ってもらわなきゃなのです。




って本当に現在進行形なので、最終的にどうなっていくかは誰もわからないですが、他にない体験が待っているのは間違いないはず。そして塩谷さんの記事にあるように、静岡にはハンバーグも温泉もある!!!!!!!!


というわけで、ゴールデンウィークは静岡で!お待ちしてますー。