「現代演劇から遠く離れて」


公演の前半約2/3が終ろうとしています。

お蔭様で、ご好評を頂いている感じなのですが、

公演自体は毎日の様にマイナーチェンジを繰り返していまして、

というのも、

スタッフの劇場入り時間は大体開演の1時間半前なのですが、

役者さんの入り時間は毎回5〜6時間前。

それはもちろん、一日2回公演の日も変わらずに、

休演日も関係なく、

3〜4時間程の稽古を毎日、毎々日とやっているのです。

タニノと役者さん達が、前日の反省やシーン演出の変遷を

確認したり、試行錯誤したりと、

非常に貴重な時間でして

もはやそれは、公演の為にあるというよりは

この「はこぶね」という劇場が、

タニノが船長よろしく目指す方向へ、その先へと往く為に

船員達と共に無我夢中になって漕ぎ続け、

漕ぎ続けないと沈んでしまう、、

そんな脅迫観念に晒されているのではないか

という印象すら抱かせます。


「苛々する大人の絵本」は、

過去のタニノ作品を自身でもって解体し、

ぐちゃぐちゃに再構築したものを

未来の人間達に向けて投げつけてしまった、

いわば非・現在性を内包するという矛盾を

引き受けるべき作品として、

恐らく、自分たちも含めて、コレをどう判断してよいのか

今はまだ、分からないやもしれません。



ただ、観終えた後に訪れる感触は、

演劇というものに初めて触れた時の

目の鱗がはがれ落ちたその記憶を、

非常にグロテスクなものとして

呼び覚ましてくれるのではないでしょか。

ご来場頂きました皆様、

そして、これからご来場くださる皆様にとって、

そういった触媒の様なモノにこの公演がならんことを。



それでは。