10日目終了!

ついに10日目が終了しました! ありがとうございました!


さて、今日は音響・照明オペレーターの森くんと少し真面目な話をしてみました。
森くんが「経済が得意、というか大好き超好き」ということなので、せっかくなのでこの『苛々する大人の絵本』と、経済の関係について考えてみようと思ったわけです。


『苛々する大人の絵本』は昨年の4月に初演を行ったわけですが、去年と今年では経済状況はぜんぜん違います。もう一気に景気後退、不況不況です。
ただ、この作品は、正直なところ現実とまったく接点がない、といっていいぐらい、異様な世界を描いています。なので、ぱっと見、現実の不況と一切関係がないようにも思えます。
ところが、です。それを可能にしているのは、一般のマンションの一室である「はこぶね」という空間のおかげです。この空間があるからこそ、ぺニノはこの公演にこぎつけることができたわけです。実際、不景気のおかげで「はこぶね」の入っているマンションの再建計画が延期になった、なんていう背景もあります。
そこで経済と今回の公演の関係、ということになるのですが、マンションの一室という究極的にプライベートな空間でこそ、現実と切り離された異様な空間をつくることができる、ということは逆にいえば、究極的にプライベートな空間でなければ、現実と切り離された異様な空間なんてつくりだすことができやしない、ということであるように思えます。
つまり、ふつうの劇場といういろいろな経済的制約のあるパブリックな空間(もちろんそれはちっとも悪い意味ではありません)ではなく、プライベートな空間をあらかじめ用意したうえで現実と切り離された空間をつくる、という『苛々する大人の絵本』の試みは、実は演劇の創作という行為そのものを、社会経済的観点まで含めて批評的にとらえた作品なのではないかしら――そんなふうに思えるのです。


で、こんな熱っぽい思いを森くんにぶつけてみたわけですが・・・

「じぶん、デイトレーダーやりながら楽して生きてゆきたいんですよね」


と、森くんは私以上に熱っぽく語ってくれました。
もちろん、その後、あたりを沈黙が支配しました。


でもでも森くんは明日も頑張ります!
(吉)