チェーホフ生誕150周年記念連続サミット 『チェーホフ?!』はこうして生まれた

1月から始まるタニノ作・演出の『チェーホフ?!』ですが、その前に今度の土曜日から12月4日から、チェーホフについての連続講義が始まります。タニノは第1回と第3回に出演します。
これ、なんと無料です! 各回は50名まで、とのことですのでお申し込みはお早めに。

今作『チェーホフ?!』を紐解く鍵を握るドラマトゥルク鴻英良氏による連続サミットを開催。 ロシア芸術思想のまなざしが今作をどのように導いたのか。チェーホフの151回目の誕生日、1/29に向けて魅力溢れるパネリストと共に連続サミットにて軌跡を辿ります。


第1回 「はじまりのチェーホフ


日 時 : 2010年12月4日(土)14:00-16:00
会 場 : 東京芸術劇場 中会議室
ゲストパネリスト : 福田善之/徳永京子/タニノクロウ
メインパネリストより
悲劇の衰退のあとに生み出されるべき近代劇とは何か、それは1600年ごろから数世紀にわたる近代社会の課題だった。その課題に最も接近したのが、イプセンストリンドベリ、そしてチェーホフである。そして、今年は、そのチェーホフの生誕150周年の年である。その記念すべき年に、われわれはチェーホフの本質について、そして、彼の提示した近代性の意味について改めて考えたいと思う。それはまた、チェーホフとともに歩んできた日本の近代劇とその後の展開について考えることだ。第1回目は、まず、モスクワ芸術座の最初の来日公演を目撃した劇作家・福田善之氏に、それがどのようなものであったのか、モスクワ芸術座のチェーホフが、戦後演劇のはじまりにおいて、どのような役割を果たしたのかを話してもらう。それから、50何年、いまチェーホフに日本の演劇がどのように向かい合っているのか、多くの劇団がいまもチェーホフを演じている。その状況から何が見えてくるかを、演劇ジャーナリストの徳永京子氏に話してもらう。第1回目、1月から上演されることになるタニノクロウ演出作品『チェーホフ?!』がどのような構想のもとに作られていくのかについても、語られることになろう。




第2回 「チェーホフ劇の展開」


日 時 : 2011年1月15日(土)14:00-16:00
会 場 : 東京芸術劇場 中会議室
ゲストパネリスト : 津野海太郎扇田昭彦
メインパネリストより
チェーホフはさまざまに演じられ、語られてきた。その実践と言説の中心がどのような軸線を描いたか、60年代以降、批評家として日本の現代演劇に関わってきた扇田昭彦氏、津野海太郎氏にそれぞれの立場から、チェーホフのなにが日本の観客を魅了してきたのか、チェーホフをわれわれはどのように読むべきなのかについて語ってもらう。1980年、チェーホフ生誕120年のとき、コメディアとしてのチェーホフ像の意味が問われ、コメディアとしてのチェーホフを文字どおり映像的に実現したミハルコフの映画『機械仕掛けのピアノのための未完成の戯曲』が熱烈なる支持のもとに日本の観客に迎え入れられた。また、『三人姉妹』の最後の場面を外国への出兵として、戦時下のチェーホフとしてとらえるというような、きわめてポリティカルな批評も同時に存在した。こうした両極に引き裂かれるようにしてその存在の意味を大きくしていったチェーホフの展開過程を外観しなおすことで、チェーホフの今日的な意味を探りたいと思う。




第3回 新たなるチェーホフ


日 時 : 2011年1月29日(土)16:00-18:00
会 場 : 東京芸術劇場 中会議室
ゲストパネリスト : 岩松 了/タニノクロウ ほか
メインパネリストより
今後、チェーホフはどのような視点で読み直されるべきか、チェーホフへの新しい視座はどこにあるのか、そのための方法をわれわれはどのように獲得していくべきなのか。たとえばチェーホフにおける近代性の問題は、彼が近代医学の教えを受けたことと不可分であるが、それは、チェーホフ作品のかなめにある伝説や魔術など、近代が排除したものとどうかかわっているのか、そうした広大な思考の領野で生起するものこそ、今日われわれがチェーホフの作品に読み取るべきものだ。その意味で、われわれは、たとえばチェーホフのサハリン旅行とロシアにおける近代の展開とを結びつけながら、さまざまなかたちでチェーホフを紐解いていかなければならない。そうした試みを作家の直観的な分析に委ねつつチェーホフ劇を作るという試みが、『チェーホフ?!』という舞台に結実しているわけだが、その舞台を批判的に分析しながら議論を深めていく、そのような作業とともに、新たなチェーホフ論を呼び寄せていくこと、そうした学究的な目論見がここでは実践家たちの想像力と火花を散らすであろう。

詳細はこちらから
http://www.geigeki.jp/saiji/031/index.html

(吉)