はこぶね公演『誰も知らない貴方の部屋』のライバルについて考えました。

久々のはこぶね公演『誰も知らない貴方の部屋』、第一弾が無事終わりました。*1


第一弾というのは、4月6〜9日に追加公演があるのと、ゴールデンウィークには大阪はロクソドンタブラックで公演があるからです。まだまだこれから、ではありますが、おかしな会場で2週間以上の長丁場、まずは無事に終われてほっとしとります。いろいろと注文の多い公演で恐縮でしたが、ご協力ありがとうございました!


さて、今回のはこぶね公演でひとつ思っていたことを書こうと思います。


それは、このはこぶね公演のライバルについてです。


唯一無二の作り込み、孤高の変態っぷり、他では実現不可能なロケーション、とご覧になった方は「はて、ライバル?」と思われるかもしれません。が、まずは、下記の項目をご覧いただきたいと思います。



1. 会場に入るまでの段階で、既にワクワクを作る仕掛けがあること。
2. 装置のいたるところに「アレ」のモチーフが埋め込まれていること。
3. 何より、そこが妄想の王国であること。



はい、ご存知、浦安のねずみの王国ですね。


もちろん、方や東京ドーム10個分以上の広さ、方やマンションの一室、とその規模に関しては、比べようもありません。規模、だけを見れば。


が、ひとまずは上記1〜3、検証してみましょう。



1. 会場に入るまでの段階で、既にワクワクを作る仕掛けがあること。


かのねずみの王国には、「プレショー」と呼ばれるアトラクションを体験する前の段階から盛り上げる仕掛けに満ちています。電車で近づくと、大きな幻想的な建物が目に入ります。電車を降りると、汽笛や花火の音が聞こえてきます。チケットブースに行くまでの間もさまざまなギミックがあり、チケットを買うと、大きな城が目に入ります。城に向って歩いていくと、景色の見え方もどんどん変わっていきます。そして、一旦中に入ると、外の世界のものが一切見えないように視線が設計されています。

ゲーミフィケーション―<ゲーム>がビジネスを変える

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(このあたり、上記102ページから参照しました)


一方、はこぶね公演はどうか。


今回も、お客様には寒空のなか、青山劇場の裏手に並んでいただきました。そして、開場すると、5人ずつ並んで移動してもらいます。年季の入ったマンションの中に入るまえに、できるだけ物音を立てないようお願いがあります。そろそろと階段をあがっていくと、一見普通のマンションの扉があります。隣や向かいの部屋と何ら変わりません。が、扉を開けると、そこにはちゃんと劇場があります。靴を脱いでもらって、席に着くと薄暗い中、正面には真っ赤な幕が垂れ、演歌が流れています。


これはもちろん会場の都合なんですが、漏れ聞こえる感想を聞いていると、この入場の「ひと手間」が観劇ムードを盛り上げるのに一役買っていたのかな、なんて思います。異様な空間に吸い込まれていく感じ。こ、これ、「プレショー」、なんじゃないかしら。そんなふうに思うのです。もちろん寒空のなか待たずに済む方法があればそっちのほうがいいんですけどね。



2. 装置のいたるところに「アレ」のモチーフが埋め込まれていること。


かのねずみの王国には、いたるところに「ねずみ」をかたどったモチーフがあります。お店だったり橋だったりランプだったり。「あれも! あれも!」と、PS3のトロフィー解除みたいな楽しい感覚が味わえます。


一方、はこぶね公演はどうか。


ご覧になった方で、お気づきになられた方もいらっしゃるかもしれませんが、今作の舞台装置にはかの王国同様、「アレ」のモチーフがたくさんあります。イスだったり、柱だったり、スイッチだったり、鍵だったり。ぜんぶで何個あって、皆さんがどれだけ気づかれているのかも、把握しきれないくらい、「アレ」がたくさんあるのです。まるで、かの王国のように。(ご覧になっていない方、スミマセン、「アレ」というのは「アレ」のことです)



3. 何より、そこが妄想の王国であること。


かのねずみの王国は、もちろん妄想の王国です。夢のような妄想です。ねずみやアヒルが二本足で立って、ぺらぺらしゃべります。中にキャストが入っていますが、それは気づかれないし、言っちゃいけないお約束です。


一方の、はこぶね公演。


こちらはのメインキャラクターは、豚と羊です。こちらも、豚と羊ですが、ちゃんと二本足で立って、べらべらしゃべります。中にキャストが入っていますが、それは気づかれない。実際、とくに羊のほうのキャストは、終演後に私服で出てくると、気づかれないことが多々ありました。




さて。


こうやって1〜3の共通点を洗ってみると、今回のはこぶね公演のライバルとして、かのねずみの王国を見なしていいんじゃないか、じわじわそう思えてくるわけです。そうです、思うぶんには自由です。妄想は自由です。






さて。


いやー、やっぱりディズニーってすごいですよね! ペニノも追加公演&大阪、がんばります!
(吉)

*1:「はこぶね」というのは、劇団アトリエのことです。って、もともとマンションの一室で、壁ぶち抜いて改造しました。