劇団をアプリゲームにしたらどんな感じになるか考えてみたら、ちょっと前向きになった件。
タイトルのとおり、演劇っていうか、劇団をゲームにしたらどんな感じになるだろう、って考えたことがあって、もっかい考えてみたら、なんだか結果的に前向きな気持ちになったYO!というお話です。
「ゲーム発展国++」と「Campaign The Game」
きっかけは、もう1年以上前ですが、その頃ハマった、「ゲーム発展国++」というiPhoneアプリのゲームです。
http://itunes.apple.com/jp/app/gemu-fa-zhan-guo++/id381477230?mt=8
これ、どういうゲームかっていうと、ゲーム会社を運営するシミュレーションゲームなんですね。
雇う人や開発する商品のコンセプトを考えて、ソフトをたくさん売って、ゲームショーでの集客や賞の受賞を目指して、オフィスを増築して・・・っていう、けっこうリアルな設定になってて、ちゃんとゲームとしての面白さもおさえてて、あれよあれよという間にハマってしまったんでした。
実際、1年以上前の記事ですけど、
日本発の無名アプリ「ゲーム発展国++」に世界が注目
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1500X_V10C11A2000000/
こんな感じで、ゲームの賞にもノミネートされてます。
で、これをやっているうちに、「あれ? 劇団をゲーム化したらどんなふうになるだろう?」と思ったのでした。
ちなみに海外のものですが、最近では広告代理店のシミュレーションゲームなんかもあります(っていうか、これきっかえで、今回の記事思いつきました)。
これもなかなか設定がリアル。
世界初!「広告代理店の育成ゲーム」がiPhoneアプリで登場!
http://markezine.jp/article/detail/15982
うん、ちょっと生々しいぐらいがおもしろいんでしょうね。
「THE 劇団」というアプリを考えたら、いきなりつまづいた。
では! 劇団をアプリゲームにしたらどんな感じになるでしょうか。タイトルは、ひとまず「THE 劇団」にしましょうか。
って、ゲームをつくったことがないので、「ゲーム発展国++」にならって考えてみましょう。
この「ゲーム発展国++」は、いちおう20年の区切りが決められているんですね。
その期間で、どれぐらいの売り上げを達成できたか、それから、どれぐらいその年のゲーム賞の「グランプリ」を獲得できたか、を競うかたちになってます。
そういう「大きなゴール」のもと、毎回、各タイトルの開発〜発売という「小さなゴール」をクリアしていく設計です。
さて、この「大きなゴール」と「小さなゴール」を「THE 劇団」にあてはめてみましょう。
って考えたら、いきなり困っちゃいました。「小さなゴール」は毎回の公演ということでいいと思うのですが、「大きなゴール」をどう設定すればよいでしょか。
THE 劇団。
20年の期間、劇団を運営する主宰となる。
毎回の公演で、着実に集客しながら、しながら・・・、えーーーっと?
たしかに、演劇界にもいくつも賞はあります。
岸田戯曲賞、読売演劇大賞、朝日舞台芸術賞などなど。
いくつもあるんですが、小劇場とか新劇とか商業演劇とか、いろいろごっちゃになっていて、これだっていう一番の賞も定義しにくかったりして、難しいところなんですよね。。。
それから、売り上げの部分も難しいところです。
「集客」という小さなゴールはありますが、ゲーム業界ほど「販売本数」という数字が強くない。小劇場なんて、規模は小さいけどいい作品つくるぜ!っていう場だったりしますし。というか、ジャンルでいえばどちらかというと「芸術」だから、数字に還元するもんじゃない、っていう考え方も根強くありますしね。
かつては「小劇場すごろく」なんて言われていてすずなり〜本多〜紀伊国屋みたいなラインがうっすらあったようにも思いますが、今やたぶん公共劇場が全国的に増えてきたっていうのもあって、そういうラインはすっかりなくなっちゃったようにも思います。
と、いうことなので、ひとまずここは毎年発表される「日本演劇大賞」の受賞を目指し、
20年間での通算集客数を競うゲーム、と設定しておきましょう。
「小さなゴール」の設定からゲームの設計は、考えるとけっこう楽しい。
「大きなゴール」の設定は難しいところでしたが結構「小さなゴール」の設定と、ゲームの設計はわりと簡単です(って素人ですが)。
まず、主宰として、人員の確保に努めます。
■制作を雇います。
バランスタイプ/人脈タイプ(管理にやや難あり)/管理タイプ(人脈にやや難あり)、などと用意しておくと、幅が広がりそうです。
能力によって、与えなければいけない給与も変動するようにしましょう。
■役者を雇います。
男優/女優、の他に、主役タイプ、ヒロインタイプ、脇役タイプなどのパターンがあり、能力値(容貌・技術・度胸など)も決められていて、能力値が高いほど後半にならないと雇えない、などの仕組みを設けましょう。
次に、公演に取りかかります。
■予算を決めます。
雇用する制作、その公演で起用する役者の人数を決めて、予算を決めましょう。
このとき、チラシを何枚打つか、なども決めます。(実際、「ゲーム発展国++」もプロモーションの種類まで選べたりします)
■劇場をおさえます。
劇場がある地域ごとに、集客できる層に違いのある設計にするとおもしろそうです。
下北っぽい小劇場は、若者ばかり。名を馳せた劇団が運営する劇場だと、わりとバランスよく来て、郊外の公共ホールの小ホールだと、お年寄りの数が増える、なんていう設定です。
■作品のタイトルと設定、演出の方針を決めます。
タイトルはベタ打ちで入力するとして、設定は「ゲーム発展国++」にならって選択式で組み合わせで決めるようにしてみましょう。コメディ・サスペンス・ロマンス・社会派・青春・ホラー・ドキュメンタリー、などなど。
それと、演出の方針としては、小劇場系・新劇系・アングラ系・ダンス系・パフォーマンス系などの配分を決めるようにしましょう。
たとえば、小劇場系60%にアングラ系30%、ダンス系10%の演出配分。自分で書いててアレですが、なんとなく、うっすら想像できる感じがします。わりとテンポがよくて笑いが多めで、一人ぐらい白塗りの人がいて、幕間とかになんか踊りのシーンがある感じ??
ともかく、そんな感じで演出の方針を決めます。
■ついに稽古に臨みます。
稽古期間に入ると、基本的には、毎週自動で成果が表れます。
ここで、タイトルの設定と演出の方針と、役者の配分・能力値の相性が関係してきます。その数値によって、役者ごとに稽古の成果が出る役者、出ない役者が出てくるわけです。
成果が出ていない役者に対しては「集中稽古」を選択出きるようにしてもよいかもしれません。ただし、一人まで。なので、誰に集中するかも選びどころになります。
■いよいよ公演です。
稽古でそれぞれの役者があげた成果ポイントの合計値が、公演の成否に関わってきます。
基準値をクリアしないと、チラシで補ったりしていない限り、劇場はガラガラになります。逆に、成果ポイントが基準値を大幅にクリアしていたら、劇場は満員になります。
ここで制作の「管理能力」に難があると、クレームが入り、劇団の「評判値」が下がるようにしておきましょう。
この「評判値」は、今後の集客にも影響する大事な数値です。
ランダムイベントも用意しよう。
この小さなサイクルの繰り返しで、毎回の公演の集客に成功し「評判値」を高めて劇団を成長させていく、というのが「THE 劇団」の基本のゲームプレイの流れになるでしょう。えっと、なんかふつうに面白そうな気がしてきますが、どうですかっ!(耳に手をあてて)
さて、ランダムで、
「制作Aが方針の違いから、劇団を離れることになりました」とか「男優Bが体調不良により、次回公演に参加出来ません」とか「女優Cが主宰のあなたを好きになってしまったようです」とかそんなイベントも発生するようにすると、ゲーム性が高まってよさそうです。なんか生々しいですが・・・。
もうすこしポジティブなものだと「偶然観劇した富豪Dが、資金援助を申し出ています」とか「助成金の獲得に成功しました」とか、そういうものもあるかもしれませんね。って、お金の話ばかり・・・。
一番考えたかったことは、ゲームや広告とのちがい。
ハイ、っていう「THE 劇団」っていうゲームアプリ考えたんです。長かったですね。ここまで読んでくれた人は何人ぐらいいるのでしょか。ああ、教えて偉い人!
ともかく、この「THE 劇団」というゲームアプリ、もし仮に面白くつくれるとしたらどんなことになるんだろう、っていうのが、実はいちばん考えたかったことです。
ようするに何が言いたいかというと、「ゲーム発展国++」にせよ広告代理店をゲームにした「Campaign The Game」にせよ、どちらも業界のパロディになってるんですね。パロディということは、ちょっとした風刺です。
なにせ、ゲームにせよ広告にせよ、もちろん演劇にせよ、どれもクリエイティブなものなはずなのに、コマンド入力という徹底的に型にはめこんだゲームにしてしまっているのですから。
「業界にありがち」なことを集めてゲームにしてしまう。それを体験したら、その後にでてくるものは、ゲームでも、広告でも、演劇でも、どれも「ははーん、あれか・・・」と思って見てしまう。ひどいときには、ゲームでコマンド入力でつくったもののほうが面白いんじゃね? なんてことさえあるかもしれません。
そして、幸か不幸か、演劇の「業界としての型」はゲームや広告よりも、弱いように感じました。
なにせ「大ゴール」を設定することが難しかったのですから。それは、劇団は企業ではない、ということが一番の理由でしょう。だからゲームや広告にくらべて、規模が小さく、型も生まれにくいと。
ただ、それはチャンスだな、と思ったわけです。
型があんまりないので、だったら型にはまらなくていいじゃないか、と。ゲームや広告だったら、企業としての制約上、型にはまったこともやらなきゃいけないこともあるでしょう。「予算がおりてしまったから」という理由で、なかば仕方なく作ることになったゲームや広告なんてたくさんありそうです。
ところが、そういう部分からは演劇はフリーです。
はい、フリーです。
って、よ、ようやく、 気づいてしまった!!!
30目前にして・・・!!!
あ、いや、まとめると、強引にまとめると、そういう「THE 劇団」というゲームアプリを想像したときに出てきそうな作品はあんまりつくりたくないな、ということです。せっかく「業界の型」からくる制約からは、わりとフリーでいられるわけなんですから。
こういうこと考えておくと、ぱっと何か思いついたときでも、「あー、それはあのアプリでいうと、コメディを素材に、小劇場系30%、アングラ系40%、ダンス系30%で、つくった作品っぽいな」という、型にはまっているかどうかのチェッカーになりそうですよね。よね。よねっ!!
ハイ、というわけで、これからもペニノはマンション改造して公演したりとか変なこと考えていくぜ! YEAH! BANZAI! って思ったのでした。
(吉)